【左】滑の三本杉の写真【右】ブナ天然林の写真
森林の景観を眺めたり、樹木・木材の香りをかいだりして
心身がリラックスしたという経験をお持ちではないだろうか。
森の癒やしを求めて、山口市徳地(とくぢ)を訪ねてみよう。
徳地の森に触れる
山口市徳地は市の北東部にあり、その面積の約9割が森林である。島根県境仏峠(ほとけだお)付近に源を発し、防府市で周防灘に注ぐ佐波川(さばがわ)が中央部を流れている。
県下最大の滑山(なめらやま)国有林には、本州最西端のブナ天然林や、アカマツ天然林、「毛利藩のモミ林」、林野庁「森の巨人たち百選」に選ばれた「滑の三本杉」などがある。平安時代末期、朝廷は焼失した東大寺再建の用材をこの徳地の山に求めた。切り出した材木は、佐波川を使って運んだという。
滑山国有林の西にある「大原湖(おおはらこ)」は佐波川ダムによってできた人造湖で、コイ、ワカサギ、フナ、ニジマスなどが放流されており、釣りが楽しめる。
大原湖畔には自然と触れ合えるさまざまな環境が整備されている。
「中国自然歩道」は佐波川の支流である滑川に沿って、森の中へのびており、渓谷美を楽しむために訪れる人も多い。また湖面を眺めながらの散策も心地よい。道はあちらこちらで大原湖を目指して下ってくる渓流と交差し、清らかな水のきらめき、せせらぎの音を感じることができる。
「ふれあいパーク大原湖」は、キャンプサイトやケビンを備えており、フィッシングセット、カヌーやボートの貸し出しを行うなど、充実した設備のキャンプ場だ。
また、鳥と親しむために設けられた「愛鳥林(あいちょうりん)」には30種以上の野鳥が生息していて、県下でも珍しいブッポウソウ、アカショウビン、ジュウイチといった鳥たちの声を聞くことができる。冬にはマガモ、オシドリもやってくるという。林内にある広場からは数本の観察道がのびていて、アカマツと広葉樹が混在した林の中を周遊できる。鳥たちの餌になる植物が植えられ、巣箱、説明板などもあり、野鳥の保護や観察に適した環境が整備されている。鳥のさえずり、風に揺れる木々のざわめき、葉擦れの音。舗装されていない道は足底に柔らかい。

豊かな自然を満喫できるカヌー体験

森の癒やし効果を受けながら散策を楽しむ

ふれあいパーク大原湖

フィッシング体験
全国で6カ所の森林セラピー基地
平成18年4月、大原湖を中心とするこの徳地の森が、全国で6カ所の「森林セラピー基地」に認定された。認定の対象となったのは、大原湖を中心とした滑山国有林から長者ヶ原(ちょうじゃがはら)一帯の約3700ヘクタール。
森林セラピー基地は、森林セラピーを行う場所として、ノミネートされた全国27カ所の中で、平成17年度に「心身の癒やし効果の生理実験」を行った10カ所について、それぞれの生理実験の結果に加え、宿泊施設等の整備状況、アクセス、将来構想なども視野に入れて総合的に評価されたもので、今回は6カ所のセラピー基地と、4カ所のセラピーロードが認定された。
「森林セラピー」とは、森林のもつ生理的リラックス効果などの「癒やし効果」を科学的に解明し、健康増進やリハビリテーションのための効果的なメニューを確立し、森の自然があやなす風景や香り、音色や肌触りなど、森の命や力を感じることによって、心身に元気を取り戻させようとするものだ。

セラピーロード
アクセス
車で
●中国自動車道徳地ICから国道489号を北上約20分。
JRで
●山陽本線防府駅下車、防長バス「堀」行きに乗車、約30分で山口市徳地堀のバスターミナル着。
ここで「河内」行きに乗り換え「屋敷」または「大原」で下車。


セラピーロード
総延長:10,600m
大原湖畔エリア:幅員=4〜5m、延長=5,100m 舗装
愛鳥林エリア:幅員=2〜3m、延長=1,600m 未舗装
長者ヶ原エリア:幅員=3〜4m、延長=3,900m 未舗装

癒やしの森の木漏れ日は心にとても優しくあたる
森はいつでも迎えてくれる。
東大寺再建の用材を切り出した歴史にちなみ「東大寺再建のふるさと 〜杣(そま)入りの地 徳地〜」というキャッチフレーズの徳地森林セラピー基地。
現在、来春の本格的オープンに向けて、森林セラピーの体験プログラムの作成、道案内や訪れた人の目的に合わせた歩き方の指導をするガイドの養成、休憩所や案内板の設置などソフト・ハード両面の整備が進められている。森林セラピーそのものの普及や森林セラピー基地のPRを行うにつれ、徳地の森を訪れて森に親しみ、森に癒やされて、森の大切さに改めて気が付く人も増えるだろう。
癒やしの森としてお墨付きをもらった徳地の森、ここで得られるさわやかさ、解放感、癒やしの実感はおすすめだ。ストレスを感じたら、足を運んでみよう。森はいつでも優しく迎えてくれる。

大原湖
平安時代末期に平氏によって焼失した東大寺を再建するため、周防の国は材木を伐り出す造営料国となった。この事業の責任者として下ってきた東大寺の俊乗房重源(しゅんじょうぼうちょうげん)は徳地の森に入り、良材を伐り出した。やがて重源は都へ戻り、東大寺は無事再建された。重源の足跡は、材木を流すために設けられた佐波川の堰や、労働の疲れを癒やすための石風呂など幾つも残っている。佐波川下流の防府市にある東大寺別院阿弥陀寺(とうだいじべついんあみだじ)は重源が創建した古刹(こさつ)。国指定重要文化財の重源坐像や鉄印東大寺槌印(てついんとうだいじつちいん)などゆかりの宝物が伝わる。

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